はちみつドロップス

「それって誰も楽しくないじゃん。皇楽も相手の人も自分のせいでキャンセルされた朗楽くんも……お母さんも藍楽ちゃんも雄楽くんも」


「…………」


「皇楽と二人っていうのも楽しみだったけどさ、朗楽くんが居るのもやっぱり楽しいのに変わりないもん」



こう言って振り向いた天の笑顔に皇楽の胸が一気に高鳴る。

再び朗楽に手を振る天から目が離せなくなる。



なんで天に惚れたのかハッキリとした答えがわからなかった。

気が付けば惹かれていた。
他の奴に取られたくないと本気で思った。


今まで付き合ってきた彼女たちとは見た目も状況も全く違うのに惹かれたのは……天が天だったから。



「……サンキュ」


「えっ?」


「おまえ、好きになって良かった」



置かれていた手をギュッと握り締める。

驚いたように自分を見つめる天に皇楽が小さく笑いかけた。



天に惹かれた理由。

天が天でどんな自分を見てもずっと好きでいてくれたから。



自分の本当の姿を否定せずに受け入れて、こうして大切に想ってくれるから。


だから自分も天を大切にしたいと想って、心の底から惹かれたんだ。
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