はちみつドロップス

職員室を目指した皇楽は何故か特別教室の並ぶ別館を歩いていた。



理科の担当である担任が理科室に居たからワザワザ来ざるを得なかったのだ。



さっさと日誌を渡し、急ぎ足で向かうのは天が居るであろう教室……のはずだった。



「っ……ひっく……」



理科室の隣にある家庭科室を通り過ぎようとした時、耳に飛び込んできた女の子のすすり泣く声に思わず足を止めた。



幽霊やお化けの類を信じるような皇楽では無いが、自分の耳に確かに聞こえるのだから信じるしかない。



家庭科室のドアをそっと開けると……、



「助けてくださーいっ!」


「っ!?」



泣きながら走り寄って来た女の子にさすがの皇楽の仏頂面も驚きを隠せなかった。



「わたし……わたしっ」



こう言って皇楽に泣きすがる彼女の手には何故か泡立て器が握られていた……。


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