はちみつドロップス
拗ねて伏せていた瞳は驚きで見開いた後、
「へへっ。……恥ずかしいっ」
頬を赤く染めてにっとはにかんでみせた。
「ほらっ。帰んぞっ」
照れを隠すように立ち上がった皇楽が自分の手を天に差し出した時だった。
「高原先輩! これっ!」
天が皇楽の手を掴むより先に、背後から聞こえた声が近付いて来る。
そこに居るのは息を切らしながら笑顔で近寄って来る椎菜の姿。
しゃがんだままの天に気付いていないのか、
「これっ。受け取ってください」
こう言って差し出したのは可愛いらしくラッピングされた箱。
中身は言うまでもなく、さっきここで作ったチョコレートケーキだ。
怪訝そうに眉毛をしかめる皇楽を、
「わたしの好きな先輩って高原先輩なんですっ」
「っ!?」
今度は満面の笑顔で皇楽と天を二度驚かせたのだった。