はちみつドロップス
“俺にはおまえが居るだろ”
皇楽の言葉に天がふわふわと心を弾ませていたのも束の間……。
「高原先パーイ」
あれ以来。
休み時間の度に現れる椎菜に天はため息を漏らした。
「……また来た」
隣の席で毎度毎度騒がしく皇楽に詰め寄る椎菜から視線を逸らす。
皇楽の席とは反対側に顔を向けてコロンと机に頭を預ける。
「これで三日目だねぇ。あの一年」
「……そうだね」
そんな天に絵那が詰め寄りそっと声をかける。
如何にも面白くないと言った声で絵那に答える天に、
「……皇楽もハッキリ言えば良いのに。ねぇ? 高宮」
オプションでくっ付いてきた慶斗がひょっこりと現れ、食えない笑顔でこちらを見ている。
「……関係ないし」
気まずげに自分から視線を逸らす天に慶斗はクスッと小さく笑いを漏らした。
「今日は椎菜クッキー焼いて来たんですよ。ハイッ」
「……なんで?」
強く突き放すことも拒むことも出来ない皇楽は、グイグイと迫る椎菜に完全に押され気味だ。