はちみつドロップス
「なに言ってんだ? 嫉妬かよ」
「っ!!」
軽蔑でもするかのように冷たく言い放たれた皇楽がの一言が天の胸に刺さる。
そのまま教室へと入っていく背中を天は切なげに見つめることしか出来なかった。
こうしてふさいだ天がやってきたのが非常階段だ。
階段の一番下に腰を下ろし、何度目かのため息をついた。
「……どうしたの? 天さんっ」
「涼希……」
そこへ現れた人影が隣へと腰を下ろした。
振り向いた隣に居たのは心配そうに天の表情を窺う涼希だった。
「教室に居なかったから探しに来たよっ」
「……そっかぁ。ありがとう」
こう言って笑う天の笑顔はいつもより力無く感じられる。
自分が教室に居ないことに涼希ですら気付いたのに……隣の席の皇楽が気付いていないワケがない。
「元気無いよ? 何かあった?」
理由は知らずとも慰めようと優しい言葉を涼希はかけてくれる。
このまま涼希に全てをぶちまけて縋れたら楽になれるんだろうか……。
自分の中に生まれた気持ちに弱った心が揺れ動いてしまう。