はちみつドロップス

「まだ言い張るか……。だったらまぁ、そういうことにしとくけど」


「…………」



含みの山盛り込められた慶斗の一言にそれ以上の否定も出来ず皇楽は口を噤んでいた。



そんな皇楽を置き去りにカバン片手に教室の入り口に向かう背中が、



「あっ、そうだ。もう一個忠告」



捨てるワケにもいかず仕方なくスコーンをカバンに詰め込んでいた皇楽にくるりと振り返る。



視線の合った慶斗はにっこりとわざとらしい作り笑顔を浮かべ、



「昼休みに高宮がどこに居たか知ってる?」



答えられないことを知った上でのこの質問を投げ掛ける。



慶斗が一度トイレに行った以外、皇楽はずっと教室で自分と一緒に過ごしていた。



もとより慶斗は答えなんて欲していない。



「非常階段で落ち込んでたのをヨシヨシって涼希に慰められてた」


「はっ?」



慶斗の予想に反しないこの皇楽の反応に満足げに鼻を鳴らす。


険しくなった皇楽の顔にまたわざとらしい作り笑顔を向ける。




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