はちみつドロップス

今日は金曜日。


皇楽が朗楽のお迎えに行く日だ。



一旦、家に荷物を置いた二人が手を繋いで向かった場所。



それは近所のスーパーの冷凍食品コーナーだった。



黄色地にデカデカとした赤い文字で書かれた『3割引(一部商品を除く)』の前に、



冷凍食品の山をガサガサとかき分け品定めをする皇楽が居た。



家族五人分のお弁当作りに冷凍食品の存在は欠かせない。



ちょっと寝坊したってレンジでチンすれば立派な一品になるこれは忙しい主婦の強い味方だ。



量の割にやや値段がするけど、なんて言ったって今日は三割引きだ。



家族全員の好きなヤツだって気兼ねなく買える。



「皇にぃ。アイス買ってぇ?」



「んー。一個だけだぞ」




冷食の選定に勤しむ皇楽の曖昧な返事に、



「はぁ~い」



とても良いお返事を返した朗楽は、既に選んでいたアイスを買い物カゴへと放り込んだ。



朗楽の選んだ有名メーカーの高級アイスファミリーパック(もちろん割引対象外)に皇楽が気付くのは、これから十数分後のレジでのことだった。



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