はちみつドロップス
昼間のことを不意に思い出した。
叶わない恋に破れた痛みを知る者として、涼姫を傷つけてしまうことを恐れたからだろうか。
雄楽に想いを抱いても報われる可能性がずっと低いことを教えてやれなかったのは……。
それとも、彼女の……涼姫の傷付く姿を見たくなかったから?
「……そりゃ無いな」
胡座をかいたベッドの上で、涼希は自嘲気味に呟いてみた。
だったら何が原因か……。
家に帰ってからずっと浮かんでいた疑問は、また振り出しに戻る。
「これからどうしよう……」
涼姫の想いが報われる可能性は低い。
結果を知りながら協力すると申し出た自分の偽善者ぶりに、思わずため息をついた。
どうせ、いつかバレて涼姫を傷付けてしまう。
だったら、それまでは笑顔で居て欲しい。
「エゴイスト」
ごろんと寝転がり、うつ伏せになってになって呟いたら、枕の中に言葉は全部沈んでいった。