はちみつドロップス
「協力してくれるって……言ってくれた涼希の優しさが嬉しかったの」
懸命に雄楽の話をしてくれたこと。
聖梨と歩いている姿を見せないようにしてくれたこと。
自分を想ってとった涼希の行動全てが、じわっと涼姫の中で積み重なり大きくなっていった。
「わたし、涼希が好きだよ」
こう言って背伸びをした涼姫が、顔を近付ける。
「俺も……涼姫が好き」
重なったおでこから感じる熱がくすぐったい。
ずっと近付いた目の中に、お互いの瞳が映り合う。
「……涼姫」
「なに? 涼希」
「良い名前だねっ」
「それって自画自賛?」
「どっちも……かな」
涼希が言うなり、どちらともなく笑い出す。
そのままギュッと涼希の指を握り、彼を上目に見つめた。
「自分の名前なのに、大切な人の名前でもあるんだね。わたしたち」
「……くすぐったいな。それって」
空いた片手で涼姫の頬を包み、優しく唇を甘噛みする。
上、下と順に触れた後、ふわっと包み込む。
始まりの場所で、新たに始まる関係。
同じ名前のよしみは、
同じ名前の恋人同士に……。
-終-