はちみつドロップス
しまった……と言わんばかりに顔をしかめる皇楽に構わず、



天は皇楽の傍らに居た妹弟たちを、皇楽→朗楽→藍楽の順番で何度も何度も視線を巡らせた。



頼むから何も言うな! 空気読め!



無理とわかっていながらこう祈らずには居られなかった。



そんな皇楽の切なる願いも虚しくすかさずに、



「わたし一年の高原 藍楽です! 兄がお世話になってまーす」



何を思ったのか楽しそうに笑う藍楽が声を弾ませながら頼まれてもない自己紹介を始める。



下の兄、雄楽の両想いを無事見届けた妹の次なる使命は、



半年(正確には、五ヶ月と二十二日)彼女の居ない兄の幸せを見届けること……と藍楽は勝手に思い込んでいた。



そして。
主婦な実態を隠したがる皇楽には、それを受け入れてくれる彼女がピッタリだと信じてやまない藍楽としてはこの偶然を是非ともチャンスにしたいワケだ。



そんな妹の迷惑以外の何物でもない優しさなど知る由も無く、



「朗楽くんはウチのクラスの園児さんなのぉ」



のほほんと笑う月先生がこれ以上余計な事を言わないことを皇楽はひたすらに祈っていた。



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