はちみつドロップス
「俺が椎菜に寂しい思いをさせてしまったばかりに、高原先輩と彼女の方には迷惑を掛けてしまってスミマセン」
馬鹿丁寧にこう述べたかと思えば、最後にはぺこりとお辞儀をしてしまう。
さっきからの淡々とした口調と、キリッと引き締まった無表情は変わらない。
きっと本気でやってのけたんだ。
そう思うと、四人は目の前で呆気に取られるばかり。
「……椎菜ママだ」
思わず天がポロリと零した所で、
「勝手なことしないでって言ってるでしょ!」
怒り心頭で目くじらを立てた椎菜が入り口から修護目掛けて駆け寄って来た。
「椎菜が他人の彼氏にちょっかいをかけたりするからだろ。俺はそんな風に育てた覚えは無い」
「ちょっかいじゃないもんっ! 高原先輩は椎菜の王子様だもん!」
「違うぞ」
俺を巻き込むなと言わんばかりに顔をひきつらせた皇楽に目もくれず、二人の言い争いは絶えず続けられる。
「何なんだ、コイツらは」
「椎菜の保護者だから、城戸くん」
いつの間にか四人の間に乱入していた藍楽が、苦笑いを浮かべながらこう答えた。