はちみつドロップス
「高原にこんな小さい弟が居るなんて意外だなー」
朗楽に視線を合わせてしゃがんだ天が、皇楽の手を握る朗楽の頭をにこっと笑いかけながら何度か撫でる。
まさにその瞬間、
「それだけじゃないんですよっ! 皇兄は仕事人間のお母さんに代わってウチの家事ぜーんぶこなしちゃう主婦なんです! 朝からお弁当作って……」
この状況下で朗楽に優しく笑いかける天なら、こんな兄も受け入れてくれると勝手に踏んだ藍楽にスイッチが入る。
藍楽による兄の主婦自慢はどんどん青ざめていく兄の顔色に気付くこと無く、ペラペラペラペラと勢い良く進められていく……。
「主婦……」
気持ち良さげに喋り続ける藍楽を驚いたように見つめる天は、
「そうなんですっ! 皇兄は主婦なんですっ!」
ものすごい満ち足りた笑顔で言い放った藍楽の極めつけに、
「へぇー。すごい!」
感心したように笑顔を浮かべた。
それを見て藍楽は思う。
あぁ、やっぱりわたしの目に間違いは無かったなぁ……と。
満足感たっぷりに視線を皇楽に移せば、不機嫌を超越したようにひどく顔面をひきつらせていた。