はちみつドロップス
自分の求めていた高校生活がようやく手に入った。
「バイトもデートもやって良いよ! 協力するから」
受験生の妹や部活に打ち込む弟の気遣いは有り難い半分、宛てに出来ない分勝手にも感じられた。
だから自分は平気だと言わんばかりに両立してみせようと足掻く。
主婦業も高校生活も一人で乗り切るって、半ば自棄になっていた。
だからだろう。
「どうしてもっと会えないの?」
弟のおねしょしたシーツを洗ってる自分を隠し続ける皇楽から彼女は離れていく。
その次もその次も……。
言えば楽になるんだろうか。
主婦業と高校生活を両立する自分を理解してくれるんだろうか。
もっと気軽に楽しく付き合える相手はごまんといる。
そんな中でわざわざ自分を選ぶような女の子が居るのだろうか……。
そう思うとなにもかも投げ出したくて仕方なかった。
だからあの時。
捻挫を理由に八つ当たりしてしまったのだ。
主婦業からの逃避と見た目ばかりで好きだと言われた苛立ちをぶつけて……。