はちみつドロップス
お買い物デイト
「お兄ちゃんの誕生日プレゼント?」
「うん。今週誕生日なんだけど……」
週が明けて月曜日。
天の机に可愛らしい小ぶりなお弁当を広げた絵那は小さな溜め息をついていた。
「今月から社会人になったから、なんか今までとは違ったものでもあげようと思ったんだけど……」
握っていたフォークを口元にそっと当て首を傾げる絵那はやっぱり可愛い……。
隣で聞き耳をたてていた皇楽は自作のお弁当を口に運びながら思った。
「う~ん……。ウチは女しか居ないからわかんないなぁ」
パクパクとサンドイッチにかぶりつく天はやっぱり役立たずだ……。
聞き耳をたてていなかったけど勝手に聞こえてきた天の声に皇楽は思っていた。
それを知ってか知らずか。
話の焦点は思わぬ方向へと転がっていく。
「だったら高原が付き合ってくれるって。プレゼント選び」
「もちろんだよ。プリンセス」
「おまえが返事すんなよっ」
つーか、行く前提で話してんじゃねぇよっ。
ていうか、プリンセスってなんだよ!
皇楽の向かいで黙って弁当を口に運んでいた慶斗と隣の巨女にすかさずツッコむ。
急激に話が展開していくこの状況に当の絵那はくるくると視線を三カ所に巡らせていた。