はちみつドロップス
「花井さん。皇楽は買い物が得意だから大丈夫だよ?」
「そうなんだぁ。……得意?」
「しょっちゅう行ってるからね」
……スーパーに。
なんて心の中で付け加える慶斗が隣に座る絵那に爽やかに微笑みかける。
「そうなんだぁ……でも」
「でも?」
慶斗と絵那が話を進めている頃、
「おまえっ! 勝手なこと言ってんじゃねぇぞっ。巨女」
「なんでよっ。わたしからの素敵なサプライズに感謝しなさいよ、主婦男」
二人に背中を向け、椅子の背もたれを握りながらコソコソと言い合う皇楽と天。
天の提案は確かに魅力的なサプライズ。
しかし何の因果か今日は月曜日。
「……今日は朗楽の迎えが」
主婦男にはやらねばならない仕事があるのだ。
「だったらわたしが行くよ」
何の躊躇いもなくサラリと言ってしまう天に、
「はぁ?」
まさかの申し出で皇楽は怪訝そうに眉を顰めた。
「つーか……なんでそこまでしてくれるんだよ?」
「えっ? それは……」
まさか言えるわけがない。
アンタが好きだから。
……なんて本音は絶対に。