はちみつドロップス
「ん~。高原を強請るのには恰好のネタだよねっ」
「あはは~。確かに……。あの出で立ちでスーパーふらふらしてると浮きまくりで笑えますよねぇ」
言って笑い合う二人を、藍楽の手を握っていた朗楽が不思議そうに見上げている。
「でもさ、買い物カゴ持って朗楽くんの手引っ張ってる高原も……」
意外で魅力的だった。
何の気なしに発していた自分の言葉に天は思わず口を噤んだ。
自分が続けようとした言葉に一番驚いてるのは自分自身だ。
それを窺うように覗いてる藍楽から目を逸らしてみるけどもう遅い……。
「なんだ。やっぱり天さん皇兄が……」
笑いかけてくる藍楽に天はハニーブラウンを思い切り揺らして否定をしてみせる。
「言っちゃダメ! お願いだから」
「どうして?」
「だって! …………わたしは高原を好きになんかなってないからね~ははは」
乾いた笑いで誤魔化し通そうとする天は、あくまで自分の気持ちを認める気は無い。
火を見るより明らかなそれを認めない往生際の悪さに、藍楽は唇を尖らせて天を見上げている。