はちみつドロップス
目の高さが近くなった朗楽に天がにこっと笑いかける。
それを不思議そうに見つめた数秒後、朗楽はゆっくりと小さな口を開いた。
「皇にぃが嫌いなの?」
さっきまで藍楽としていた会話を何気に聞いていたらしく、朗楽の純真無垢な瞳差しはじっと目の前の天を捉えている。
まさか朗楽を相手に兄を悪く言うわけにもいかない。
「嫌いじゃないよっ」
「じゃあ好き?」
「えっ……んー……」
四歳の子ども相手に本気で頭を悩ませる天は、腕組みをして唸り始める始末。
答えに躊躇する自分の顔をまじまじと覗き込んでくる朗楽に気を逸らそうと逆に問い返してみる。
「朗楽くんは? お兄ちゃん好き?」
話題の焦点を逸らした天が今度は朗楽の顔を覗き込んでいる。
「皇にぃはね……怒るけど好き」
「あはは~わたしも一緒っ。……怒るけど好きだよ」
はにかんで答えるぷくぷくの頬を指で突っつきながら、天は朗楽と顔を見合わせて笑うのだった。