はちみつドロップス

ヤケクソになりながらも啖呵を切って乗り込んだ高原家。



綺麗に整頓されたキッチンに天が感心したのも束の間、



「天さん……」


「なにぃ?」


「……ハンバーグ、ですよね?」



何故か飛び散る生肉と卵の殻の残骸たち。


主婦皇楽のピカピカに磨き上げられた聖地は見る影もない……。



「ただボウルに入れた合い挽きミンチを味付けてパン粉と卵入れて混ぜるだけなのに……なんでこんな汚いんですかっ!?」



こんなのがバレたら皇楽を喜ばせるどころか、怒らせることは間違いない。



とりあえず壁に飛んだミンチを急いで取り除く藍楽に気付くことなく、



「面白いねぇ~朗楽くん」


「朗楽クルマ作った」


「上手上手っ! わたしはハートとうさぎと~」


「天も上手~」




まるで粘土遊びでもするかのように、生肉を顔につけて和気藹々とハンバーグ作りを楽しんでいた。


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