はちみつドロップス
「えっ? そりゃ天さんが皇兄のこと好……」
「違うってばっ!」
藍楽が最後まで言い終わらないうちに大声を上げて否定する天に、
「ねっ? 認めないでしょ?」
「……ホントだね」
聖梨はますます納得したように頷いている。
「ねぇ、天さん?」
「……なに?」
あくまでも天が皇楽を好きなことを認めさせようとする藍楽。
何度否定しても食い下がる藍楽に天は不機嫌そうに顔をしかめた。
「ひぃちゃんも昔、皇兄が好きだったんだよ。ねっ?」
「えっ?」
「一応ね……半年も前のことだけど」
「でも! 今のひぃちゃんには雄兄が居るもんねぇ?」
思いがけない言葉を耳にした天は目を丸くして聖梨へと視線を向ける。
視線の先で聖梨はニヤつく藍楽に困ったように頬を赤らめて笑っていた。
「高月さん!」
「聖梨でいいよ」
「じゃあ聖梨ちゃん」
「なに?」
「高原に気持ち……伝えた?」
自分より更に長身の彼女が自分と同じく皇楽に想いを寄せていたこと。
もしも自分が皇楽に気持ちを伝えるようなことがあったとき。
自分にはどんな反応が皇楽から返ってくるのだろうか……。