はちみつドロップス

聖梨の答えに微かな希望と絶大な不安を抱きながらじっと答えを待つ。



「伝えてないよ。それ以前に名前も呼ばれたことないし扱いはぞんざいだったから。だから言い合いでもちゃんと皇楽くんの視界に入ってる天ちゃんがちょっと羨ましいかな?」




天の不安を汲み取ったのか。
答えた聖梨は慰めと励ましを込めて、最後に羨ましいと付け加えて小さく笑いかけてきた。


ちゃんと視界に映ってる。



聖梨の言葉と教室での皇楽の眼差しは似ても似つかな気がした。



絵那だけに向ける柔らかい眼差しにホントに自分なんかが映ってるのだろうか……。



そんな不安を頭に浮かべずにはいられなかった。



「あー! ひぃちゃんってばそんなセリフ雄兄が聞いたら怒るよ?」


「内緒内緒っ! 雄楽くん気にしちゃうから言わないでね」



こう言って笑い合っている二人をぼんやりと上の空で見つめる。


天の中で燻り始めたモヤモヤはさっきより増えていく一方だった。



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