はちみつドロップス
放課後。
いつもの時間にカフェ バタフライの夕方の営業時間が始まる。
今日も例によって花の高校生トリオ(店長が勝手に命名)が揃ってシフトに入っている。
「天ちゃん! ご指名だよっ!!」
そんな中で、新人の天にお客様からの指名が早速入ってきた。
「ご指名ありがとうございますっ! ……あっ」
今日も無駄にハイテンションな店長に、何故か手を引かれてやって来たテーブルで思わず天は目を丸くした。
「じゃあ皇楽! 天ちゃんのテーブルのお客様からご注文聞いてきてね! ハイッ! 笑顔で笑顔で……」
天のエスコートを終えて戻ってきた店長がこう言ってウィンクを飛ばすが……無言で無視。
スタスタとしゃーなしで皇楽が向かったテーブルで、
「皇兄。ロイヤルミルクティ三つよろしく」
天を指名したお客様たちに皇楽はあからさまに表情を歪めた。
笑顔で三本指を差し出して注文をする妹。
遠慮がちに顔を見上げている弟の彼女(未来系)。
見慣れたメンツと共に正面でヘラヘラと笑ってる天に、
「何座ってんだ。働け新人っ」
とりあえずたった今感じたイライラをぶつけとく。
「だってこれお客様のご指名だし。今まさに仕事中だから」
これ見よがしにお客様のご指名というカフェ バタフライ最高の効力をかざしてくる天にますます腹が立つ。