はちみつドロップス

皇楽の顔に客商売では有り得ないようなシワが眉間に一瞬にして浮き上がる。



「店長ー。サボってます」



イライラ任せに振り返った先に居た店長を軽く睨み付ければ、



「はいはい。皇楽ッ! イライラしないよ? 笑って笑って!」



親指を立ててこちらを見てるから余計に腹が立ってムカつく。



振り返ったことを後悔した皇楽が視線を戻した先では、



「笑って笑って!」



店長に便乗した悪乗りに興じて親指を立てた天が一番に飛び込んできた。



「うっせぇよ」


「痛ッッ!」



行き場の無い怒りをハニーブラウンに叩き付けた皇楽はそれ以上何も言わず、



「5番テーブル。ミルクティOKです」



キッチンから聞こえた声でひたすらピリピリしながら踵を返して行った。





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