はちみつドロップス

叩かれた頭をさすっていた天が立ち去って行く皇楽の背中を恨めしげに見つめている。



「アイツすぐ叩くんだけど……」


「天ちゃんと皇楽くん仲良しだね」



ブツクサと不満そうに文句を垂れる天に、こう言ってにこやかに笑う聖梨に思わずしかめっ面を向ける。



「ちょっと聖梨ちゃん? 今のを見てなんでそうなるの?」


「やっぱり天ちゃんは皇楽くんのこと好きなんだなって思ったから」


「ほらほら! 認めちゃえ認めちゃえ!」



目の前で相変わらずにこやかな聖梨と、やんややんやとはしゃぐ藍楽を天の泳いだ目が交互に見つめていく。


仲が良いって言われて嬉しいって思ってるのを必死で頭の中から掻き消す。



「違うってば! 誰が……」



「有り得ねぇよ。気持ち悪い」



大袈裟な身振りで慌てて否定する天の前で、ミルクティー片手に現れた皇楽がさも鬱陶しそうに吐き捨てた。



ミルクティーをテーブルに置いていく皇楽の仏頂面を見上げていた天の表情がじわじわと堅くなっていく。



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