はちみつドロップス

逃げ出すように席を離れた天は、頼まれていたわけでもないゴミ袋を抱えて店の裏へとやって来ていた。



薄い乳白色のゴミ袋を決められた枠の中に置き、そのまま視線を空へと向けた。



面と向かって言われた“気持ち悪い”は、天の頭の中をさっきからぐるぐると回っている。



それはどんなに頭を振ったって天の中から出て行ってくれない。



“気にしてない”



きっとみんな心配してるから。
こう言って笑おうと空に向かって練習すれば、不意に風が頬を撫でていく。



その風がやたら冷たく感じるのは自分の頬が濡れているせいなのだろうか……。



シャツの袖で無造作に涙を拭った天がゆっくり身を翻した。



赤みを帯びた天の瞳が視界に入った瞬間。



渋々で様子見に来ていた皇楽は慌てて来た道を戻っていく。



「謝ったか? ……皇楽?」



そのままそそくさと戻ってきた店の中では、



「……なんだ、あれ」



見たことも無い表情をして赤らんだ頬を押さえる皇楽が居た。



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