はちみつドロップス
「関係ねぇじゃないっ! このバカッ!」
思いっきり足を振り上げていた。
「痛ってぇなっ。おまえこそバカだろっ!」
蹴られた背中に手を回しながら半ば睨み付けるように振り向けば、
「……関係なくないっ!」
下唇を噛み締めた天が悔しげに皇楽を見上げている。
例え、失恋決定だろうが恋愛対象外だろうが……。
皇楽の傍に居られれば良い。
それが天の選んだ片想いの道だ。
じっと自分を見上げる視線から一度目を逸らして皇楽が溜め息を吐く。
「……戻んぞ」
ぶっきらぼうに呟いた皇楽の右手には、しっかりと天の左手が握られていた。
一瞬驚いた顔をした後。
自分の一歩後ろで嬉しそうにこっそり笑う天。
それを盗み見た皇楽の頭には、最初の目的などすっかり忘れ去られていた。