はちみつドロップス
放課後の廊下。
いつもなら朗楽のお迎えの日だ。
しかし、今日は珍しく部活が休みである雄楽の申し出でお迎えを任せてある。
廊下の窓から見える校門へ流れるように歩いていく生徒の中に、自分より少し背の高い女の子と並んで歩く弟の姿が見えた。
子連れデートでもする気か?
たまの部活の休みにそれではあまりに不憫だと、皇楽は慌てて制服のポケットを探った。
取り出した携帯に雄楽の番号を呼び出したところで、
「高原くんっ」
思いがけない声に呼び掛けられて皇楽はピタリと足を止めた。
「今帰り?」
にこやかな笑みを携えてこちらに向かってくる絵那に皇楽は思わず携帯をポケットへと戻す。
「天が日直で一人なんだ。良かったら……一緒に帰らない?」
小首を傾げて上目に自分を見つめる絵那に、皇楽は即座に頭を縦に振ってみせた。
「良かったぁ。断られなくて」
ちょっとばかし頬を赤らめて微笑む絵那は皇楽のツボを突きまくる。