はちみつドロップス
今日は木曜日。


カフェ バタフライでのバイトの日だ。



同じシフトだった慶斗と共にサロンエプロンに着替えていつものようにホールに出れば、



「二人ともっ。さっさとこっち来て」



夕方の開店の準備を整えた空っぽの店に今日のバイトのメンバーが並んで立っていた。



その視線の先に立つはカフェ バタフライの店長。


口髭に黒縁メガネの無駄に濃いオッサンが二人を急かすように手招きした。



「どうしたんッスか。こんな時期にミーティングなんて珍しい」



いつもは開店準備が整えば即開店。


ミーティングなんて月末に一回の売り上げ発表くらい。



突然のミーティングに訝しげに店長を見つめる面々を余所に、



「実はねぇ、今日から……仲間が増えまーすっ！」



年甲斐も無くテンション高々に店長は声を張り上げた。



「……へぇ」



店長のテンションとは雲泥の差のバイトたちのテンションは恐ろしく低い。



< 8 / 228 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop