はちみつドロップス

玄関で月先生にお礼を告げ、雄楽に手を引かれた朗楽が門に向かいながら一歩前を歩いていく。



「そういえば……皇兄の荷物は?」




その後ろで、サロンエプロンを巻いたまま手ぶらで歩く皇楽に藍楽は不思議そうに声をかけた。




まさか、朗楽の迎えに必死になりすぎて飛び出して来たとも言えず皇楽は気まずげに黙り込む。



「……ホント兄バカだね。皇兄って」



ニタニタと笑いながら茶化してくる藍楽に、



「うっせぇ……おまえらもだろが」



小さく吐き捨てる皇楽の照れ隠し。



クスクス笑う妹を鬱陶しそうに睨んでいた皇楽に、



「兄貴っ! これっ」



一足先に門に着いた雄楽と朗楽が二人に向かって手招きをしている。




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