はちみつドロップス
事態はあらぬ方向へ
「あれっ? 高宮は?」
それからしばらく経った昼休み。
気がつけばいつもと変わらない四人で食べる昼食に最近約一名足りない。
ここ何日か昼休みを見計らったように消える天に、弁当袋片手に皇楽の席にやってきた慶斗が不思議そうに二人に尋ねる。
「……居なくてもいいだろ」
向かいには可愛い絵那が居る。
皇楽としてはそれだけで十分過ぎだった……はずだった。
「高宮が居なかったら静かだよね……」
ポツリと呟いた慶斗はそれ以上何も言わずに弁当を口に運び始めた。
これを皮切りに訪れる、穏やかだが静か過ぎる昼食はどこか物足りない空気が漂う。
お弁当用の小振りなフォークを握っていた絵那が、小さくため息をつくのを皇楽は見逃さなかった。