はちみつドロップス
教室にちょっとばかし重い空気が流れている頃。
「ねぇ、天ちゃん?」
聖梨の席に遊びに来ていた藍楽に便乗して、聖梨の席でうなだれる天に聖梨が声をかけた。
「最近毎日ここ来てるけど……何かあった?」
「皇兄絡み?」
藍楽の口から出された皇楽の名前に天は、勢いよく顔を上げてあからさまな反応を見せる。
ふぅっと一息ついた後、
「やっぱり……わたし高原が好きなのかな?」
重々しく口を開いた天にモチロンと言わんばかりに二人は深く頷いた。
「天さん、やっと認める気になったんだ?」
何やら嬉しそうに笑っている藍楽を余所に、天はため息混じりに首を振っている。
「どうして?」
不思議そうに首を傾げる聖梨に、何故か天の瞳にはウルウルと涙が溜まっていく。
「えっ!? なんで泣くのっ?」
「落ち着いて、天ちゃんっ」
いつでも無駄に元気な天の涙に慌てふためいて宥める二人。
何度かしゃくりあげた後ふぅっと一息ついた天は、
「……高原を好きって認めたら……絵那と今までみたく喋れない……」
聖梨に差し出されたハンカチで涙を拭いながらポツリと呟いた。