はちみつドロップス
「花井さん?」
放課後になるなり。
足早に教室を抜け出した天に声をかけることも出来なかった。
今日もまた一人帰り支度を整えていた絵那に、
「聞きたいことあるんだけど……ちょっといい?」
いつもの如く爽やかな笑みを湛えた慶斗が声をかけた。
不思議そうに首を傾げる絵那に、
「花井さんってさ、なんで高宮と仲良いの?」
突然切り出した慶斗の言葉が人の出払った教室に小さく響いた。
「花井さんは女の子らしいから、高宮とは正反対な感じがするんだけど……」
何を意図して聞かれているのかわからず絵那が答えを言い淀む。
その固く強張った表情を正面から見据えていた慶斗は、
「高宮とのわだかまり、解消したくない?」
いつになく柔らかい声で囁き、薄く開きかけた絵那の口をこじ開けた。