はちみつドロップス
「わたし……天にどうして避けられてるのかわかんなくて」
ピンク色の唇を小刻みに震わせながら、今にも泣きそうな声で絵那が呟いていく。
それを黙って見つめていた慶斗は短く息を吐き、ふんっとあからさまに鼻で笑ってみせた。
それに驚いたように目を見開いた絵那を無視して、
「花井さんって俺と一緒で実は腹黒いでしょ?」
慶斗は不敵に笑う。
慌てて絵那が否定を口にしようとすれば、
「わかってんでしょ? 高宮が皇楽に惚れてんの」
不敵な笑みをすっかり消してしまった慶斗がじっと絵那を見つめていた。
シラを切って慶斗を交わしたところで、天が自分との距離を作る現状は解消されないだろう。
そう踏んだ絵那の不安げな顔色が一変する。
「……わたしと天のキッカケだっけ? 知りたいの」
こう言って声のトーンを下げた絵那にいつもの愛らしい笑顔は無く、ただ正面に立つ慶斗を無表情で見つめ返していた。