はちみつドロップス
「花井さんって、男子の前で超ぶりっこだよねぇ」
そんな陰口というにはハッキリ聞こえすぎる非難の声は、中学一年生の少女にはただの日常だった。
天性のぶりっこで女の子の友達の居なかった絵那。
こんな風に陰口や噂話で繋がる友情ならいらない。
この頃の絵那は、自分と同い年の女の子たちがやたらにこだわる友情や友達の輪にどこか侮蔑の感情を抱いていた。
「花井さん! 一緒に帰ろ!」
そんな男子好きでぶりっこな女子の目の敵とされていた美少女に近付いてきたのは、人懐っこい笑顔を浮かべた長身の女の子だった。
わざわざ嫌われ者の自分に、ヘラヘラと近づいてくる天は絵那にとっては不可解でしかなかった。