暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
取りあえずキリをつけ、スフィア様の近くにある自室に戻り服を清潔にすると、寝間着姿のスフィア様の着替えを手伝った。
「……アニは器用なのね」
「何の事でございますか?」
着替え終わったスフィア様から驚いた表情をされ、一体何の事だろうと首を傾げる。
「貴女も知っていると思うけど、ここでは一人の側妻に複数の侍女が付くの。そして着替えはもちろんの事、身の回りのお世話全般を分担して行う。しかし、アニはそれら全てを一人で済ませてしまうのだもの。驚かされるわ」
確かに大変だけど………………まぁ一人で出来る範囲内だし、これで二人も正直いらない。
それに前もって段取りをしておけば、ある程度うまく行く。
別に凄いことでもないと思うのだけど………………。
そう思う私にスフィア様は更に言葉をかけた。
「貴女が私の侍女になってくれて本当に良かった」
スフィア様はそう言って必殺メロメロスマイル………………は私が心の中で付けた名前だけど、性別を問わずにときめいてしまうような笑顔をこちらへ見せた。
まだだいぶ幼さが残る顔立ちなのに、この甘い笑顔は反則………。
本当にこの方は美少女という言葉のよく似合う方だ。