暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「私から申しておきながら、申し訳ございません」
そう言って軽く頭を下げる。
フィグリネ様は少し残念そうな表情で私を見ていた。
「本当に良かったの?」
「はい。違う道を探してみます」
「………そう、では仕方ないわね」
フィグリネ様は私が話を断ったから残念そうな表情をされているのだと思っていたが、その残念そうな表情はそれだけの意味ではなかった事を、私は次の瞬間知る事となる。
「ではせっかく出来たお友達も失くすわけね」
そう言ってフィグリネ様はクスッと笑う。
何だか棘のある少し意地悪そうな言い方に、思わず固まってしまう。
「あら、失礼したわ。今お茶会に行かれているそうね?あれね、私が提案したの(笑)最近交流が疎かでしょ?同じハレムの側妻同士交流は必要だと思ったから言ってみたら、あの子達賛成してくれて…」
……あのお茶会はフィグリネ様が提案してもの。つまりあの側妻様が誘ったものでなく、フィグリネ様の意見の元強制的に行われたものって事…!?
「久しぶりの交流できっとあの子楽しんでいると思うわ。帰ってくるのが楽しみね?どう、考えてくれたかしら」
私が断ればスフィア様は嫌がらせを受け続け、その上交流も止められる。……しかし、私がフィグリネ様の元へ行けば、嫌がらせは止まりその上交流も広がる。侍女だってつけてくれるみたいだし、どちらが良いかなど結果は丸わかりだ。
こんなの最低すぎる。
この方は本当に先程までのフィグリネ様なの!?
「頭の賢い貴女ならきっと分かってくれると思うわ。取りあえず、そろそろお茶会が終わる頃だと思うし、私(わたくし)はこの辺で失礼するわ。良く考えてごらんなさい」
そう悪魔の微笑みを最後に私へ向けて、フィグリネ様は優雅に私の元を去って行った。
フィグリネ様がここへ来られたのは……スフィア様がお茶会にて不在であると知っていたからで、この最悪な選択をさせる為だ。
どちらの方が良いかなど言わなくても分かるのに……。