暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
陰謀
*
「……そうか!やはりそうであったのか」
侍女から連絡を受けたフィグリネ様はそう言って深意味そうな笑みを浮かべた。
それを見て前に立っていた侍女は不思議そうな表情をしたものの、側妻である私(わたくし)に軽々しく声をかけるなどしなかった。
「では、下がるがよい」
「失礼致します」
用事の終わった侍女を部屋の外へ出すとそこには私(わたくし)だけのシン…とした空間に包まれた。
「……これであの子は独り。誰も味方などいない。以前と同じ一人ぼっちだわ」
そう思うだけで可笑しくなり、つい笑ってしまう。
第8妻としてこのハレムに迎えられたスフィア。今までにいないピンク色の髪は皆の興味を引き、誰からも愛される存在へと上がって行った…。
ここでは私が絶対であり、他の者が私(わたくし)より前に出るなど許せない。
ハレムを仕切るのこの先もずっと私(わたくし)でしてよ――――――――………。