暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
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日が昇り暑さを感じ始めた頃。
「おはようございます。私は炊事係をしておりました、パロマと申します」
「私は掃除係をしておりましたマルタエノと申します」
「私は____」
外で庭園の手入れをしていた私のもとに顔を出したのは、少し幼さを残した顔つきの3人組。
この人達が私の代わりにスフィア様の侍女となり、身の回りのお世話などをやっていくメンバーだ。
しかし、何時頃ここへ来るかは詳しく聞いていなかった為、ジョウロなどを持つ光景を不運にも見られてしまった。
「……このような姿で失礼します。私はスフィア様の侍女をしておりますテリジェフと申します」
持っていたものを一旦地面に置くと、私も挨拶を交わす。
「貴女方は引き継ぎの方ですね?」
「はい!」
「よろしくお願いします!!」
こちらへ見えられたら今まで行って来た作業を教える事になっていたので、
「これらを片付けて参りますので少々お待ち下さい」
3人をそのまま廊下に待機させて、庭園の手入れを道具を取りあえず片付ける。
すると、廊下からこちらを見ていたその一人が疑問そうに声をかけてきた。
「庭園は庭師が手入れを行っていないのですか?」
唐突な質問に一瞬固まる。
そういえば他のところは庭師が側妻様の庭をお手入れしていると聞く。
その為庭園はいつも美しいのだとか…………。
しかし、ここでは庭師などやってこない。
何せ…………ハレムの中でも日の当たらないような端の方だからだ。
庭師もそこまで来るのが面倒なのだろう。
「ここでは庭師でなく侍女である私が庭園を管理しています。侍女自ら行う事でより自分の理想に近い庭園にする事が出来るのです」
本当の理由は違うけれど大体はあっている。
元々荒れ果てた庭園だったからこそスフィア様の喜ぶ庭園にしたいと行動したのがきっかけだ。
「引継ぎと言いましても、特に難しい事を覚えされる訳ではございません。他の側妻様のお世話をするようにこちらでもして頂けたら問題ないです。あ……ただし、先程も話題に出しました庭園のお手入れも毎日行って頂きたいのでお願いします」
ここを外れたらいつもしていた庭園のお手入れが出来なくなってしまうからね…。
そこだけが唯一気になり、そうお願いしたが対する三人は何だか納得できないような表情をしていた。
「庭のお手入れなど侍女のするような仕事ではないです」
「私達侍女は側妻様のお世話だけをしていればよいのではないですか?」
「え………っと」
返ってきた言葉に思わず言葉を詰まらせる。