暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
だってそれは私にとったらあり得ない言葉だったから。
この人達はしっかり侍女として側妻様に使える事が出来るのだろうか………と少しの不安がよぎる。
が、ここで戸惑ってばかりいても仕方がない。
「側妻様のお世話だけをしていればよいと思っている者が他にいるのなら今この場で考え直してください。侍女は確かに主様のお世話やお手伝いなどの身の回りの事をするのが基本ですが、ただそれだけであれば誰でもできます。そう……例えば庶民でも。しかし、ここの侍女はそうではないのでしょう?」
アンディード帝国とは違ってこの国は上位の貴族や王族の元へ、下位の貴族の子供等が修行の場として就くといったような事を聞いた。
中には家位関係なく代々侍女や侍従として仕えている名門の家系もあるみたいだけど、どちらにせよ身分が高くないと就けないみたい。
恐らくこの子達もどこかの下位の貴族で、修行として来ているはずだ。
そんな子達が庶民よりも劣っていると言われるのはさぞかし嫌だろう。
「………庭園を手入れすれば宜しいのですね」
「『やっと』側妻様の侍女としてつけたのですから、それぐらいは……」
ぶつぶつ言いながらも、思った通り何とかしてくれる気になったみたい。