暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
私と後の三人はスフィア様へ挨拶を済ませるべく、お部屋まで足を運んだ。
「スフィア様、引継ぎの者が見えられました」
「………」
「スフィア様」
名前を呼んでも返事がない。
もしかしたらまだ機嫌が直っていないのかもしれない。
「スフィア様。引継ぎの者が見えられましたので、ご挨拶宜しいでしょうか」
「…………」
やはり反応がない。
『具合を悪くし中で倒れていたら……っ!?』
なんて事も考えたが、中で物音がしたのでそれはまずないだろう。
取りあえず返事がないと挨拶は難しいかもしれない。
「スフィア様はどうかなされたのですか?」
中々顔を見せようとしないスフィア様に対し後ろにいたパロマが小さく私に問いかけた。
「………前日に少しありまして、そのせいか口を聞いていただけなくなりました。私がいるうちに顔合わせをしておきたかったのですが……難しいかもしれないですね」
私がいないでこの侍女達がしっかり挨拶できるか心配でしかない。
一緒にいれたらよかったのだが、急な事で私もそう長くは居られないのだ。