暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「あら、フィグリネ様!そちらの方は?」
「こちらは新しく私(わたくし)の侍女になりましたテリジェフと言いますわ」
「まぁ!!あの……!!!」
フィグリネ様の紹介で後ろに控えていた私は軽くお辞儀をする。
あの後セッティングをし、側妻様たちを迎えた私はなぜかこうして後ろの方に控えつつ、お茶会に参加していた。
この部屋でたった一人の侍女である私はもちろん他の側妻様の目についた。
「フィグリネ様自らお誘いになられた方とお聞きしておりますわ」
「一度お会いしたいと思っていましたの!」
「お……恐れ入ります」
この異様な光景に恐縮しつつ、侍女としての役割はきちんと果たす。
「こちらのお手拭きをお使いくださいませ」
「あら、ありがとう」
ティーカップの中身が少なくなれば、空になる前に声をかける。
手が汚れたとなればすぐに手拭きを持って行った。
「流石はフィグリネ様の侍女でございますわね。私の侍女と全然違いますわ(笑)」
「そんな事ないわ。でも、ありがとう」
そう言って互いに微笑みあう。