暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
口元に耳を澄ませてみれば規則正しい寝息が聞こえ、その表情にも苦しさが感じられない。
「……やった」
幸い気を失っているようで良かった。
もし、意識があったなら少なからず傷が癒えていく感覚というものが分かり、力の事も気づきかねない。
後は起きた時に後遺症などが残っていないといいのだけど。
取り合えず一安心だ………。
私が丁度終えたころ騒ぎに気付いた兵士達が次々と中へ入り、状況を側女様に確認する。
その側女様達はただ叫んでいただけだが、しっかりとその状況を話してほしいものだ。
侍女の私では先ず信用されないし。
そう思いながらその光景をボーっと眺めていると、何故か視線が私の方に集まっていた事に私はふと気づいた。