暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
しかもその見る目がまるで…………え?
「……そうでしたか。では、そこの侍女を捕らえよ!!!!」
「「「「「は!!!!!」」」」」
…………えぇ!!??
嫌な予感が的中するように事情を聞き終えた鎧を付けた兵士たちは一斉に私を取り囲むと、恐ろしい表情で私を睨みつける。
「第一妻フィグリネ様を暗殺しようとした罪で罪人を連れていく。来い!!」
「…いった……!」
乱暴に腕を引っ張られ思わず声が出てしまった。
誰かが私が毒を入れ殺そうとした等と言ったのだろうか。
このままでは牢屋に入れられ罰せられてしまう!
「無実でございます……っ!!私は何もしておりません!!」
「何を言う!!既に証言は複数出ているのだぞ」
「では、一体何だと言うのですか!!」
「お茶を淹れたのは貴様だそうだな。それに毒をこっそり入れる事など出来るはずだ。それに、スフィア様のところから移動してきた者だそうだな。であれば、スフィア様の命でフィグリネ様を暗殺するよう言われていてもおかしくはない話だ」
「………っ!!そのように恐ろしい事…どうして仰れるのですか!!?私は何もしておりませんし、スフィア様も関係ございません」
この兵士頭がおかしいのか!?
確かにあの場面であると私が一番怪しいだろう。しかし、よく状況を確認せず勝手に憶測だけで決めつけるなどおかしい。
しかも、なぜスフィア様が巻き込まれなくてはならないのか。
「……その者が苦しんでいるフィグリネ様の側に近寄ったのも怪しゅうございます。すぐに捕らえるべきではありませんでしょうか!?」
「そうです!!証拠を隠していたかもしれません」
「晩餐会のパートナーがフィグリネ様に決まるからと、きっとスフィアが策略したに違いありません!!」
弁解しようとする私に周りの側女様たちは口々に喋り始めた。