暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「フィグリネ様を暗殺しようとするなんて思ってもいなかった。毒を飲み物に紛れさせたって聞いたわ。応急処置によりフィグリネ様の命に別状はなかったようだけど、あれはもうきっと死刑ね」
「おかわいそうに…。打ち首か……もしくは辺境の地に飛ばされ過酷労働を強いられた末、賜毒かしら」
何となく耳を傾けていた時聞こえてしまったのは、何とも恐ろしい言葉だった。
「まだ辺境の地に飛ばされた方がマシかもしれないわね」
フィグリネ様が……暗殺されかけたとは一体……。誰がそんな恐ろしい事をなさったのかしら。
未遂であろうが、どちらにせよ見つかってしまえばまずただでは済まない。
ここの者であればそんな事分かっているでしょうに…。
恐ろしくあるがこの時点ではまだ私は他人事のようにそう思っていた。
あの名前を聞くまでは。
「だけどこの話はスフィア様の前で言ってはダメよ?」
え?私??
「当たり前よ。だってその人は――――――………
アニさん何だもの」