暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
…………え?
確かに聞こえたはずなのに、その言葉は右から左へとすり抜けていく。
今侍女たちが言った名って……。
いや、そんなはずがない。そんな事する訳がない。
だって理由がないもの。私から離れておいて、向こうを選んでおいて……それはないもの。
「私あの時その場所に行ってみたんだけど、アニさんも相当動揺しててさ~…無実だとか言っていたけど、正直信憑性に欠けるっていうか(笑)」
「犯人ほどそう言うしね~。まぁ私たちには関係ないしいつも通り仕事していれば問題ないでしょ!!(笑)」
アニ……っ!!
―――――ガラッ!!!
「え……スフィア様!!?まさかさっきの話……やばっ」
私を見るなり動揺する彼女ら。
今はそんな事はどうでもいい。とにかく今は確かめなきゃ。
「さっきの話……本当ですか」
「さっきの話と致しますと~……?」
「私達話していませんよ~…」
「はぁ…あなた達の声が大きかったもので余裕で声が中まで聞こえてきたわ。それで……アニがフィグリネ様を暗殺しようとしたとは一体なんですの?詳しく聞かせてちょうだい」