暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「………今日開かれたお茶会でフィグリネ様暗殺……いえ、毒殺未遂事件が起こりまして、結構な騒ぎでしたので私も含めたくさんの人が見に行っていたのです。聞いた話なので本当かは存じませんが、淹れたお茶に毒が混ざっていたそうでそれを飲んだフィグリネ様は大変苦しまれたそうでございます。幸い命に別状はないと後で集まっていた皆に知らせがあったのですが、恐らく犯人はアニさんで兵士から捕まえられたところを見ますと、刑は重いかと皆が噂されておられます」
「………」
そんな事あり得ない…。
やはりアニはあんな事するような人ではないもの。
だって………唯一私を見捨てずにお世話をしてくれたとても良い侍女だった。
フィグリネ様のところへ行ってしまったとき、本当に悲しくて辛くて、アニを少し憎んだ。
けれど………。
フィグリネ様を暗殺してもまずアニには何もメリットがない。
したところで現状が変わるとも思わないはず。賢いアニであれば。
なのに暗殺をするっていうの?そんなの死にに行くようなものだわ。
無実と主張するのであればそれは事実。
でも………証拠が。
―――――いや、あの人達ならもしかして…。
「スフィア様…っ!!?一体どちらへ行かれるのですか!今出歩けばスフィア様に害が及ばぬとも限られません!!スフィア様!!!」
「あぁ……もう!!一体どうしたらよいの」
混乱する侍女を置いて私は、ある人に会いに初めて一人でこの部屋から離れた。
自らの意思で。