暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


*

ガルゴ王国の紋章が入った馬車を進められたが動きやすい馬を選び、ガルゴ王には行先を伝えず各町へと走り出した一同はある離宮へ足を運んだ。

「まさかアンディード帝国の陛下様がここに来られるなど思ってもいませんでしたので、お会い出来た事とても光栄でございます!!」

この離宮に暮らしているのはガルゴ王国の第1王子ガルデル。

薄い赤髪からみるに王位とは少し離れて感じるその王子は明るい口調でそう話しかけた。

「急な訪問すまない。少しの間この国に滞在する事になったのでこうして各町を視察させてもらってるのだ」

「そんな恐縮でございます!!どうぞごゆっくり見て行ってください」

王族だからか使用人はそこそこいるようで、

ガルデル王子の側近も身なりが良く、まるでどこかの貴族のようだ。

「…ところでガルデル王子は奴隷を買われていたりするのか?」

「奴隷ですか?」

「あぁ。我が国では禁止しているが他の国はどうなのか気になってね」

「何だか政治のお話をしているようで緊張しますね!(笑)私は奴隷など汚らわしく感じこの離宮には入れておりませんが……確か“あいつ”は奴隷を買っていましたね」

「…………ほぅ。あいつとは?」

「失礼致しました。第2王子のアルヴァンが確か奴隷を買っておられました。何がしたいのかいろんな国に視察へ行くたびに新しい奴隷を買ってきて、交流の糧にしている様子でした」

………っ!

第2王子のアルヴァン……であるか。

視察に行く点や、奴隷を買う点………実に怪しい。

「ちなみにそのアルヴァン王子はどちらへ?」

「ここから半日ほどかかる町の離宮で暮らしております。離宮はともかくあの町は中々良いところでございますので是非行かれると宜しいでしょう!」

つまり今日向かうには少し難しい……か。

「では明日でも行かねばならぬな」

「はい!きっと気に入ると思います」

その後軽く言葉を交わした後に明日に向けて王宮へと戻った。

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