暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
小さい頃よく分からない密売人から攫われて売り飛ばされそうになった時、
腕を締め付ける縄や叩かれた頬が時間が経つに連れてジリジリと痛み、
目をタオルで覆い隠され日付感覚が麻痺しだし、このまま家族の元にも戻れず知らない土地へ行くのかと絶望した。
あの時と同じだ……。
でもその時は助かったのよね〜…………。
男達の苦しむ声と何かが叩きつけられるような鈍い音が急にその場に響き渡り、
誰かが私の目隠しと縄をあっさりと解いたっけ。
眩しいほどの光に照らされつつ見えてきたその人は私よりも少しだけ年上で、サラサラな髪と冷めたような目が凄く特徴的で今でも覚えてる。
なぜ助けてくれたのか分からないままだけど、もし助けてくれなかったら私は一体どうなっていたことやら………。
しかし………………………その目。
どっかで見たことがあるのよね。
どこだったかしら??