暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
その侍女が到着するまでの間アルヴァン王子との会話を楽しんでいると、命令の受けた侍女は焦った様子で部屋に入ってくるなり、直ぐさまアルヴァン王子の元へ駆け寄り、その状況を説明する。
侍女から報告を受けたアルヴァン王子は目を見開かせて、その状況に驚いた。
「…………そんな連絡今まで俺のとこに来なかったやないか!!しかもそれから数日が経過してるやなんて、何で知らさなかったんや!」
そして声を荒げその侍女を怒鳴る。
「どうかされたのか?」
先程の雰囲気とはまるで違うアルヴァン王子に状況を確かめる。
アルヴァン王子は何とも言えないような表情で余を見た。
「………………このような話、客人であるあんたに話していいかどうか分からへんけど、少し問題が起こってたみたいや。最近外での用事が多かったから気づくのが遅くなったんやけど……すまない!少し席を外してもええか?」
冷静を装いつつも早口で戸惑っている様子のアルヴァン王子にこれ以上追求するのは止めにした。
その代わりに、
「気にせず行くと良い。その間案内係の侍女を連れ少し中を見学しても良いだろうか?」
中を自由に見て回れる許可を貰おう。
「それは全然構わない。そこの侍女を連れて行くと良いわ」
アルヴァン王子はそう言って、連絡をした侍女の方をチラッと見た。
「どうぞ私を連れて行って下さいませ」
「すまない。お願いする」
上手く許可を取ることが出来た一同は早速その侍女を連れて見学へと向う。
妃は………アニーナはこの離宮の中におり、余自らの手で探す事が出来る。
そう思うと自然にフ……ッと笑みがこぼれた。