暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「その様な話が噂されていたのですか!!では是非他の噂も広げて頂きた…」
「何か言ったか?」
楽しそうな表情で明らかに何か余計な事を口に出そうとしたファンの言葉をそう言って遮る。
「せっかく面白い話を広げてあげようと思いましたのに~……」
「次行くぞ。案内頼む」
「はい。かしこまりました。次はこちらでございます」
不服そうなファンはさておき次の場所へと移動していると、前を歩いていた侍女はあるところに視線を向け、いきなり立ち止まった。
「どうした?」
「…い、いえ。すいません、少しお時間を頂いてもよろしいですか?」
「あぁ、問題ないが」
そう返事をすると険しい表情をさせて先ほどから見つめていたある場所へ向かった。
陰に隠れ少し薄気味悪い道にあるドアの前。
「そこで何をしているのですか!?」
「い、いえ………私はただここの監視を任された侍女でございます」
そこに息をひそめるように侍女らしき女が立っていた。