暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「貴女……この奥に何があるのかご存知でここにいるのかしら?それにここの監視に一介の侍女が任されたなどと言う事例は今までにないはずだけど」
「いえ、私は本当に任されたのでございます。何でしたら直接ご確認して頂いても構いません」
疑いの目を向ける案内の侍女に動揺などせず平然とそう答えるドアの前にいたその侍女。
「その頼んだ方とやらは誰なのかしら?」
「フィグリネ様でございます」
その名前に案内の侍女は反応を見せる。
「……っ!?なぜフィグリネ様が。しかし、側女様であろうとここの監視を決める権利まではない。それを決めるのは王子様だ!!」
「そんな事は……っ!」
「よって怪しい貴女を見逃す訳にはいきません。捕らえなさい!!」
その侍女がそう声を荒げると後ろから護衛に付いてきていたのか複数の兵士が姿を現した。
ドアの前にいた侍女は顔を真っ青にしている。
不運な者だ。
兵士達はその侍女を捕らえようと徐々に近づいていく。
侍女は後ろへ下がろうとするがドアがある為これ以上下がれない。
「…違う!私はただ……」
何か言いたげな表情だったが罪を隠すための嘘だろう。
そう思いながらその場を後にしようとすると。
「何をなさるのですか!?」
兵士達の戸惑いの声と、
「……え?」
気の抜けたような侍女の声が聞こえ、思わず足を止める。